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さまよう刃 [映画]

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東野圭吾のベストセラーの映画化です。

原作を先に読んでいるので気になる相違点があるのは仕方がありませんが、相違点を並べても何の意味もありません。映画は映画、自分に言い聞かせながら観てきました。

久しぶりに、息を呑む映画でした。

台詞が極端に少なく、間が多く、無音のシーンがかなり出てきます。つまり、演技と映像だけで表現しているシーンが非常に多く、スクリーンに釘付けにされてしまいました。八割くらい埋まった客席も、息詰るシーンに咳払いもできないくらいでした。出演者の、台詞の無い表情と演技。抑制された音楽。台詞とナレーションがないとストーリーが分からない映画が多い中、しっかり撮影された写真が強烈に語りかけてきます。こんなに力強い映像を見せられたのは、いつ以来なのか…。この緊迫感は映画館の中だからこそ味わえるものです。鬼気迫るシーンに無音が続くというのは、深く胸に突き刺さりました。

もし、原作を読んでいなければ、間違いなく高得点の映画です。映画としての完成度は素晴らしいと思います。冷静に観れば、原作と違う解釈が成功している、と思います。ずっしりと重い映画でした。

ただ、私にとって不幸なことは、原作を先に読んでしまっていたこと。あ〜ぁ。
悔しいけど、ちょっとだけ愚痴を書かせてもらいます。お許しください。

台詞が少ないということは省略が多いということ。三分の一くらいボリュームが減った感じ。
だから原作より映画の登場人物が少ないので、重要な役回りの雑誌記者・小田切、タクシー運転手・鮎村は映画には出て来ない。
季節は、原作は夏で映画は冬。これは設定、時間推移の省略に影響が大きく、映画の時間短縮に非常に貢献している。これは脚本の勝利。

映画の設定は平成20年12月ですが、ビデオがVHSというのは、ちょっと違うかなぁ?

ラストシーン、それに繋がる経緯は、映画ではかなり省略されているので無理がある。
ラストシーンの重要な要素、ペンションの丹沢和佳子は映画のラストシーンに出て来ない。
ロケーションは、原作の午後8時の上野が、映画はお昼の川崎、しかもシネチッタ川崎に。これは撮影許可とPR効果を兼ねたのか…そうだろうな。
というより、ラストシーンが全然違うと言ってよい。相違点が多すぎる。

上げ出すとキリが無いんですけど、これはあくまでも原作を先に読んだだけのこと。読んだことがない方は素直に映画に入り込める作りになっていますので、頭を空にしてご覧ください。

未成年者の犯罪と刑罰。被害者の家族の気持ち。警察は市民を守るのか、法を守るのか。
単行本の帯にある「裁く権利は誰にあるのか?」。

考えさせられるテーマは非常に重いものです。
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コメント 2

ぼんぼちぼちぼち

どうしても、原作を先に読んでしまっていると
映像では不服に思う場合が多いでやすな。

あっしは、この作品は 原作も映画も知らないのでやすが
他作品で 同じ様な感想を抱いた経験は何度もありやす。
by ぼんぼちぼちぼち (2009-10-14 21:10) 

sowhat

ぼんぼちぼちぼちさん

確かに原作に負ける映画が多いですよね。
映画関係の方々に頑張って欲しいと思います。

「さまよう刃」機会があれば、まず映画をご覧なってください。
by sowhat (2009-10-15 01:16) 

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