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ヒットこそすべて ~オール・アバウト・ミュージック・ビジネス~ 朝妻 一郎 [その他]

ここ数日はこの本を読むのに精一杯でした。473ページ、厚さは4cmの超大作です。
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「朝妻一郎」という名前を知っている方は、50歳以上の筋金入りの洋楽ファンだと思います。
「PMPの朝妻さん」「あさづま、じゃなくて、あさつま、と濁らないんだよね」という方は、立派な業界人の方に違いありません。

ウィキペディアで調べてみるとこのように書かれています。[こちら] 私も初めて検索しました(笑)。
  
40年以上音楽ビジネスに携わり、しかも「音楽出版」という一般にはほとんど知られない分野で実績を積み重ねられた方なので、その足跡を集大成したこの本は興味深い話に満ちあふれています。誰もが知るヒット曲のあれやこれやに、実は裏側から朝妻さんが関わっていたことがこのような形で発表されるのは初めてではないかと思います。

洋楽ファンには知られていないかもしれませんが、「帰ってきたヨッパライ」「大瀧詠一」「おニャン子クラブ」「Wink」それに「千の風になって」など多くの邦楽ヒットにも関係していて、これまでの断片的な情報がきちんとまとめられて紹介されたことはその一例にしかすぎません。

著作権ビジネスの一大事として、The Beatlesのほとんどの権利を持つATV/Northern SongsをMichael Jacksonが買収した話がありますが、この経緯が丁寧に解説されているのも見逃せません。当然ながら多くの人、会社が絡み、すんなりと決まった訳ではありませんでした。朝妻さんがちょうどフジ・パシフィック音楽出版社長に就任した1985年、この売却話が始まったのですが、朝妻さんの買収予想金額は100億円、フジサンケイグループとして資金援助をしてもらえないかを鹿内春雄氏(翌年にフジサンケイグループコミュニケーション会議議長)に頼んだそうです。しかし、当時はニッポン放送もフジテレビも上場していなかったこともあり「高すぎる」とのことで実現はしませんでした。結果は4700万ドルでMichaelが買収したのですが、$1=¥200とすれば94億円、朝妻さんの読みはピッタリ。もし100億円をどこかの銀行が融資していたら、その権利は日本に来ていたかもしれないですね。現在その価値は1000億円とも2000億円とも言われています。もう一つ、このお話は1985年、つまりCD発売の前年だったということも、その後のメディアの変遷を知るだけに運命を感じます。

最後にもう一つ印象に残ったエピソード。
傑作と言われるPhil Specter「The Christmas Album」は、1963年の発売当時あまり売れなかったいわれるのが不思議だったのですが、この年はケネディ大統領の暗殺が11月22日だったため、アメリカでは年末のクリスマス商戦が盛り上がらなかったとのことです。なるほど、こんな巡り合わせだったのですね。リアルタイムで経験していないとなかなか結びつけられないお話です。

ヒットこそすべて ~オール・アバウト・ミュージック・ビジネス~

ヒットこそすべて ~オール・アバウト・ミュージック・ビジネス~

  • 作者: 朝妻 一郎
  • 出版社/メーカー: 白夜書房
  • 発売日: 2008/09/20
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



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