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LPの掘り出し物 [4チャンネル]

ネットオークションが普及して、いわゆる「掘り出し物」を見つけること、手に入れる機会はすっかり減ってしまいました。旅行先のレコード屋を回るのは何が出てくるか非常に新鮮で、ワクワクしながらエサ箱を漁ったのは昔の話。最近はすっかり「相場価格」になってしまっています。

ネットオークションも開始価格は安くても、ファンの検索は精度が高いようで、必ずと言っていいほど見つけられて、ほどほどの金額に上がってしまいます。検索に引っ掛からなければ「掘り出し物」となる可能性もあるのですが、世間は甘くありません。

先日は運良く「掘り出し物」が二枚、手に入りました。まず4chの一枚…。
05.jpgBernard Estardy、ベルナール・エスタルディの「La Formule Du Baron」。アーティスト、内容については何も知らないのですが、とにかく4ch。CBSソニーから発売されたSQ方式ですが見たことが無い。全く無名のようで探し難いし、とにかく出て来ない。オークションでも見つからないものでした。オリジナルはフランス盤で、どうやら電子楽器を多用した多重録音の「名作」らしく、モンド関連で一時注目され、日本盤CDも発売されているのです。

バロンの法則

バロンの法則

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: ヴィヴィッド
  • 発売日: 2001/05/15
  • メディア: CD


eBayにもLPの出品があるのですが、どうも普通の2chの様子。SQなど4chを意味する表記は無いんですね。まぁ気長に待てば日本盤が出て来るだろうとは思っていましたが、10年間で初めて検索に引っ掛かったのが先週末。しかも、1円開始。これはチャンス、チャンス。

終了6時間前になっても入札者は無く、これは1円で落とせるな、と安心したものの、やっぱり登場するライバルが一人。4chマニアか、モンドファンかは分かりませんが、細かく入札が始まりました。自動延長されるので、途中で競っても仕方ありませんから勝負は終了15分前から。たった二人の競り合い。私は少々高めに入札していたのですが、相手は少しずつ上げてきます。どうやらど〜んと高額を入れるつもりは無さそうで、結局3,000円で終了でした。1円のつもりだったのが3,000円まで上がったのは予想外ですが、相手もそれなりの意思があったようです。

内容は予想通りの4chで、まあまあ(笑)。さすがに3,000円は安くはないなぁ、という感じ。でも欲求は満たされ、スッキリするには十分な内容ですね。70年代前半、新しい音楽を探究する意欲が全編に漲っております。ちょっと高く付いた「掘り出し物」です。

01.jpgもう一枚は正真正銘の「掘り出し物」。
お馴染みの処分品、105円。
イ・ムジチ「四季」アーヨがソロの最初の録音、モノの日本初回盤(NLC 118)です。日本でいちばん売れたクラシックLPとして知られるイ・ムジチ「四季」、正に「一家に一枚」と言われるくらい売れたものです。






03.jpg
中でも1959年録音のアーヨによる最初のステレオ録音盤と、











04.jpg1969年録音のミケルッチによる二度目のステレオ録音盤の二枚が揃った70年代には、どっちがいいとか、優れているとか、どっちが好きとか、硬軟さまざまな評論、議論が飛び交いました。そんな評価の応酬が相乗効果となり、アーヨ版、ミケルッチ版、どちらも売れるという結果になってウハウハだったのはレコード会社だったようです。そこに存在感を表すのが評論家であり、マニアの意見。「でもアーヨのモノの方が素晴らしい」と。でも70年代には既にモノ盤は廃盤となっていて、聴きたくても聴けない状況だったのです。私としては、まぁどっちでも…、という立場ですが、機会があれば聴いてはみたいけどモノじゃねぇ…。

02.jpgそれから30年以上が過ぎた訳ですが、完全に忘れた頃にやって来たモノ。店頭の段ボールに投げ込まれている完全処分品の@100円盤。ジャケットを知らなかったのですが、目に入った「The Seasons, I Musici with Felix Ayo 」という文字。レーベルはEPIC。裏には日本語解説があるものの、どのレコード会社から出たのか、表示が無い。これは何???あのモノ盤???でもジャケットはきれいでほとんど痛んでもいないし、とにかく105円ですから買って帰った訳です。
異常に薄い究極のペラジャケットは一部が裂けてはいるものの合格点。盤は未使用のようにきれいで瑕は無し。早速聴いてみると、何ともきらびやかな「春」。そしてモノ。

調べてみると、日本最初のイ・ムジチ「四季」アーヨ版モノは1956年12月、日本コロムビア系列の日蓄工業より発売されていたことが分かりました。EPICというレーベルは、蘭フィリップスがアメリカでの販売を行うために米コロムビアと設立したレーベルで、その音源を日本で販売するにあたり米コロムビアを販売していた関係で関連の日蓄工業にEPICを設立し、1956年9月から販売を開始しています。つまり日本に於けるフィリップス音源はこのEPICから始まっていた訳です。しかし、1958年になるとフィリップスは日本ビクターと販売契約を結んだため、EPICは日本コロムビアに吸収され、日蓄工業のレコード販売は1962年で終わっています。従って日蓄工業が「四季」アーヨ版モノを販売したのは2年余りしか無かったということです。日本ビクターがいつ「四季」アーヨ版モノを再発売したのかは分かりませんが、1959年には早くもステレオ録音を行っているので、モノ盤が市場に出回ったのは非常に短かったのではないかと思われます。

このモノ盤にどんな価値があるのか、私には判断する基準がありませんが、ステレオ盤と較べてみると明らかにモノ盤の方が鋭い音がしているということ。ステレオ盤は丸くて軟らかい音。悪く言えばモノ盤は堅い音とも言えますが、キビキビした演奏、強弱の付け方が大きくメリハリが利いたモノ盤を好む気持ちはよく分かります。ステレオ盤がステレオ録音の極めて初期であり、何らかの試行錯誤があっても不思議ではなく、まだモノ録音の方に一日の長があったと言うことでしょうか。次のステレオ録音、ミケルッチ版を改めて聴くと、アーヨ版より何となく良く聴こえるから不思議です。

105円の四季でしたが、これが1050円だったら買ったかどうか…。やっぱり買わなかったでしょうね。何十年振りかで四季を聴きましたが、これ以上、何度も聴きたくはならないし。でも「掘り出し物」であったことは間違い無さそう。5年に一度くらいはこんな出会いもあるのでしょう。やっぱり中古レコード屋巡りは止められませんね。

それにしても四季モノ盤の前の持ち主はどんな方だったのでしょうか。保存状態は完璧でした。とても何度も聴いていたとは思われないし。
そして私より長生きのレコード、私より先に生まれていたということに感動してしまいます。50年以上前の空気がそのまま詰め込まれているような気がしてしまいます。やっぱり時々は聴かなきゃいけないですね。
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xingfudetudou

この映画はいい作品かどうか。<a href="http://www.vibram-fivefingers-outlet.com/"><strong>ビブラム</strong></a>高校生の時分から映画の出来を評価する個人的な判定規準がある。<a href="http://www.vibram-fivefingers-outlet.com/"><strong>ビブラム 5本指</strong></a>第一は「〈世界〉は確かにそうなっているな」と思わせられるかどうかだ。
by xingfudetudou (2010-12-16 17:35) 

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