コーネリアス『Five Point One』 [5.1chサラウンド]
時代の流れ、音楽の流れ、完全に置いてけぼりです。全く付いていけません。世代が違う訳ですから当然といえば当然。若者中心の文化を追うことの方が不自然なことともいえます。
ミュージック・マガジンの2010年7月号は、“ゼロ年代アルバム・ベスト 100[邦楽編]”。ま、私には無縁の内容に違いありません。この10年、旧譜の再発売、5.1ch以外で買った新作はほとんどなく、そのほとんどは20年以上のベテランの作品ばかり。読むべきものなど無いだろうと思っていたら、意外や意外、目を疑う作品が上位にランクイン。
第一位のゆらゆら帝国に続く第二位、三位にコーネリアス『SENSUOUS(2006)』。その5.1ch版『Sensurround(2008)』、
そして『POINT』(2001)。その5.1ch版『Five Point One(2003)』の二作品。
第四位に鈴木慶一『ヘイト船長とラヴ航海士』がランクイン。
何が凄いかというと、この10年で発売された日本人のロック系サラウンド作品はこの三作品がほぼすべてなのです。他に何があるか、思いつかない…。
悔しいかな、コメントで5.1chに言及しているのは『POINT』だけですが、この並びは奇跡と言わせて欲しいです。辛口のミュージックマガジンが選んだランキングですから影響力は少なくないでしょうから、まだまだ私の感性も若い!ということでしょうか。いや、ただの偶然でしょうか?
『Sensurround(2008)』はグラミー賞サラウンド部門にもノミネートされ、最優秀受賞は逃したものの5.1chの内容の素晴らしさは折り紙付きで、その原型になった『Five Point One』も創造性に満ちた作品。タイトルに「5.1」とするくらい、絶対的な自信に満ちたコーネリアスの意欲が凄い。ここまで直接的なタイトルのサラウンド作品は無いでしょう。
何がいいのか?
斬新さと独創性。唯一無二。
珍しいだけ、新しいだけ、といえばそれまでですが、伝統的な8ビート、月単位で消費される体裁のいいポップスにはない過激さと刺激。次はどんな音が出るのか、どう展開するのか、予想のできない期待感。比較のしようがない音作りは正に現代的なものであると思うんですよね…、とはいえ、それ以外のランキング作品を聴いていない身としては根拠も示せません。
コーネリアスの5.1chはビデオ作品でDVD、2chCDの発売後の2年後に発売されています。同時にアメリカでも発売。計画的だったのか成り行きだったのかは分かりませんが、斬新さと独創性は絶対的に5.1chの方が上。最初から5.1chを想定して作ったとしか考えられない部分がほとんどです。ステージ演奏を客席から聴くという伝統的なスタイルが全くそぐわないのですから、表現方法としてサラウンドでなければならない、という必然に至るのは当然のことです。ドラムが真中、ヴォーカルが中央、ベースとギターとキーボードが整然と横に並ぶ…、半世紀以上も続くこんなスタイルにこれ以上の発展性は無く、期待を抱く必要も無いこと。今求められるのはコーネリアスのように次のステップ、つまり5.1chに進むことだと思います。
必ずしも60年代から活動を続けるベテランに変化を求めるつもりはありません。しかしKing Crimsonのように40周年を機に、時代に即した5.1chに挑むものもいます。2chオリジナルに愛着を持ち、その様式にこだわりを持って追求を続けるマニアには5.1chは邪道に聴こえることでしょう。だったら5.1chを無視すればいいことです。確かに邪道、無理して聴かなくてもいいこと。自分に必要がない音源の発売に文句を言う必要はありません。5.1chは、年季の入ったマニアック(そして頑固)なファンのすべてに受け入れて欲しいというよりも、2chステレオに飽きた人や、新しい創造性を求める人に向けて発売されているのです。同時に、オリジナルを知らない21世紀の新しいリスナーに向けられているともいえます。
多くの過去の名作、ベストセラーは、レコード会社の販売戦略によって次々に新しい大同小異の2chが発売されます。高音質音源の発売も続々と出て来ることでしょう。買うかどうかも聴き方も自由、音質の比較・追求も個人の自由ですが、もしステレオという前方集中の既成概念を覆す欲求に駆られたら、5.1chこそが新しい音響世界を体験できる音楽メディアです。二位と三位にランクされたコーネリアスの2枚は、同時に5.1ch作品でもあったという、おそらくミュージックマガジンも想定していない未知の可能性を大きく含んでいます。
サラウンド否定派の方々からよく聞く感想は、音が後ろや横から聴こえて来ることは有り得ない、ということ。その通りです、コンサートではステージの方向からしか音(直接音)は聴こえてきませんからね。しかし、(ライブを除く)音楽サラウンド作品は、ライブステージの配置再現を目的にしていないから当然なんです。5.1chはステージでは出来ないこと、常識では考えられない独創的な音響環境を創造しているということをちょっとだけ理解してもらえると、サラウンドの聴こえ方が変わってくると思っているのですが。
それにしても立ちはだかるのは機器の問題、スピーカの置き場所…ですね。
忘れていましたが、好みが合わない『ヘイト船長とラヴ航海士』は未聴なんです。5.1chだったら何でもかんでも、とは行かないのも事実です。すいません…。
ミュージックマガジンのランキングを機に少しでもサラウンドに興味が注がれることが私の望みですが、現実は厳しそうです。
ミュージック・マガジンの2010年7月号は、“ゼロ年代アルバム・ベスト 100[邦楽編]”。ま、私には無縁の内容に違いありません。この10年、旧譜の再発売、5.1ch以外で買った新作はほとんどなく、そのほとんどは20年以上のベテランの作品ばかり。読むべきものなど無いだろうと思っていたら、意外や意外、目を疑う作品が上位にランクイン。
第一位のゆらゆら帝国に続く第二位、三位にコーネリアス『SENSUOUS(2006)』。その5.1ch版『Sensurround(2008)』、
そして『POINT』(2001)。その5.1ch版『Five Point One(2003)』の二作品。
第四位に鈴木慶一『ヘイト船長とラヴ航海士』がランクイン。
ヘイト船長とラヴ航海士~鈴木慶一 Produced by 曽我部恵一~
- アーティスト: 鈴木慶一
- 出版社/メーカー: Sony Music Direct
- 発売日: 2008/02/20
- メディア: CD
何が凄いかというと、この10年で発売された日本人のロック系サラウンド作品はこの三作品がほぼすべてなのです。他に何があるか、思いつかない…。
悔しいかな、コメントで5.1chに言及しているのは『POINT』だけですが、この並びは奇跡と言わせて欲しいです。辛口のミュージックマガジンが選んだランキングですから影響力は少なくないでしょうから、まだまだ私の感性も若い!ということでしょうか。いや、ただの偶然でしょうか?
『Sensurround(2008)』はグラミー賞サラウンド部門にもノミネートされ、最優秀受賞は逃したものの5.1chの内容の素晴らしさは折り紙付きで、その原型になった『Five Point One』も創造性に満ちた作品。タイトルに「5.1」とするくらい、絶対的な自信に満ちたコーネリアスの意欲が凄い。ここまで直接的なタイトルのサラウンド作品は無いでしょう。
何がいいのか?
斬新さと独創性。唯一無二。
珍しいだけ、新しいだけ、といえばそれまでですが、伝統的な8ビート、月単位で消費される体裁のいいポップスにはない過激さと刺激。次はどんな音が出るのか、どう展開するのか、予想のできない期待感。比較のしようがない音作りは正に現代的なものであると思うんですよね…、とはいえ、それ以外のランキング作品を聴いていない身としては根拠も示せません。
コーネリアスの5.1chはビデオ作品でDVD、2chCDの発売後の2年後に発売されています。同時にアメリカでも発売。計画的だったのか成り行きだったのかは分かりませんが、斬新さと独創性は絶対的に5.1chの方が上。最初から5.1chを想定して作ったとしか考えられない部分がほとんどです。ステージ演奏を客席から聴くという伝統的なスタイルが全くそぐわないのですから、表現方法としてサラウンドでなければならない、という必然に至るのは当然のことです。ドラムが真中、ヴォーカルが中央、ベースとギターとキーボードが整然と横に並ぶ…、半世紀以上も続くこんなスタイルにこれ以上の発展性は無く、期待を抱く必要も無いこと。今求められるのはコーネリアスのように次のステップ、つまり5.1chに進むことだと思います。
必ずしも60年代から活動を続けるベテランに変化を求めるつもりはありません。しかしKing Crimsonのように40周年を機に、時代に即した5.1chに挑むものもいます。2chオリジナルに愛着を持ち、その様式にこだわりを持って追求を続けるマニアには5.1chは邪道に聴こえることでしょう。だったら5.1chを無視すればいいことです。確かに邪道、無理して聴かなくてもいいこと。自分に必要がない音源の発売に文句を言う必要はありません。5.1chは、年季の入ったマニアック(そして頑固)なファンのすべてに受け入れて欲しいというよりも、2chステレオに飽きた人や、新しい創造性を求める人に向けて発売されているのです。同時に、オリジナルを知らない21世紀の新しいリスナーに向けられているともいえます。
多くの過去の名作、ベストセラーは、レコード会社の販売戦略によって次々に新しい大同小異の2chが発売されます。高音質音源の発売も続々と出て来ることでしょう。買うかどうかも聴き方も自由、音質の比較・追求も個人の自由ですが、もしステレオという前方集中の既成概念を覆す欲求に駆られたら、5.1chこそが新しい音響世界を体験できる音楽メディアです。二位と三位にランクされたコーネリアスの2枚は、同時に5.1ch作品でもあったという、おそらくミュージックマガジンも想定していない未知の可能性を大きく含んでいます。
サラウンド否定派の方々からよく聞く感想は、音が後ろや横から聴こえて来ることは有り得ない、ということ。その通りです、コンサートではステージの方向からしか音(直接音)は聴こえてきませんからね。しかし、(ライブを除く)音楽サラウンド作品は、ライブステージの配置再現を目的にしていないから当然なんです。5.1chはステージでは出来ないこと、常識では考えられない独創的な音響環境を創造しているということをちょっとだけ理解してもらえると、サラウンドの聴こえ方が変わってくると思っているのですが。
それにしても立ちはだかるのは機器の問題、スピーカの置き場所…ですね。
忘れていましたが、好みが合わない『ヘイト船長とラヴ航海士』は未聴なんです。5.1chだったら何でもかんでも、とは行かないのも事実です。すいません…。
ミュージックマガジンのランキングを機に少しでもサラウンドに興味が注がれることが私の望みですが、現実は厳しそうです。
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