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Dave Masonの4ch [4チャンネル]

紙ジャケットCDの発売もほとんど一回りして、売れ筋作品で残されたものは少なくなって来ているようです。今月はDave MasonのCBS時代の作品が紙ジャケットで発売。私にはもう興味の薄い紙ジャケットですが、彼の作品にスポットライトが当たるのは嬉しいことです。

注目されないのは4ch。Dave Masonは3枚のSQ方式4chを発売しています。でも日本未発売。私が4chの存在を知ったのはもう20世紀の終わりでした。25年以上、四半世紀も遅れをとってしまったということです。
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CBSでの一作目「It's Never Left You Like(忘れえぬ人)」は発売当時から評価も高く、根強い人気を維持しているようです。今回の紙ジャケットの中でもいちばん売れるのではないでしょうか。

さて、日本ではほとんど聴かれていないであろう4chミックスは、楽器・音源を分散配置したものですが、一見機械的にさえ感じられるその配置が妙にハマっていて、優れたサラウンドを生み出しています。基本的にドラム、ベースをフロント、ボーカルをセンターに置きながら、それ以外の楽器・音源が右に左に、前に後ろに効果的に散らばっています。Masonのギターは1本、2本、いや3、4本、え?5、6本と曲によっては非常識なくらいギターを重ねています。このギターが四方八方から押し寄せて来るのですから堪りません。2chだとそこまでの解像度には聴こえ難く、混じり合っています。4chでは個々のギターがしっかり聴こえ、私の部屋の中で混じり合おうとするのです。これこそが部屋全体で大きく鳴らす音響のおもしろさ。

「It's Never Left You Like(忘れえぬ人)」にはゲストとしてGeorge Harrison、Graham Nash、Stevie Wonderなどが参加していますが、彼らの音がしっかり聴こえるのも4chミックスのメリット。センター、あるいはリアの左、または右の「独占席」に堂々と座り、存在感は強烈です。従ってMasonとの掛け合いは対比が明確になって更に熱を帯びてきます。多くの音源を予め2つにまとめてしまっている「2chステレオ」と違い、再生しながら部屋の中でミックスさせて行く「4ch」、つまりサラウンドの魅力、おもしろさが、このミックスの同時性と臨場感にあるわけです。

Masonはヴォーカルもギターもどちらにも非凡なものがありますが、そのバランスがいいのも特徴。サラウンドのおもしろさはギターソロやキーボードやブラスの演奏部分の方がより印象的です。Masonのギターの特徴は同じフレームの繰り返し。惰性ではなく計算された繰り返しと編曲。Jeff Beckのような予測不能のひらめきではなく、編曲・構成がしっかりしていて後から重ねるギターに無駄が無く、その端正な構成がサラウンドでより輝いています。

George Harrisonとの掛け合いが嬉しい「If You've Got Love(愛をみつめて)」のミックスは、2chでは二人が混じり合っていますが、4chではリアの左右に完全に分かれていますから、リスナーは二人の名手に挟まれてギターの妙技を堪能することが出来るんですね。

SQ方式の4chは数多く発売されましたが、Masonの3作品、特に「It's Never Left You Like(忘れえぬ人)」のサラウンドはワンランク上の完成度で、このままデジタル5.1ch(実態は4.0chですが)で発売しても通用するはずです。4chミックスが駄作を名作に変えることは出来ませんが、名作がサラウンドになってさらに評価を上げるに違いないのが昨年のKing Crimson3作品であり、この「It's Never Left You Like(忘れえぬ人)」なのです。

紙ジャケットCDも愛らしくていいですが、音楽なんですから本来は音そのもののおもしろさが求められるもの。音質が向上するのも良いことですが、所詮2chは2chのまま。せっかく作ったサラウンドが存在しているのですから、このまま埋もれたままにしておくことは残念なことです。良いか悪いか、好きか嫌いかはともかく、2chでは体験できない「忘れえぬミックス」がまだまだたくさんあることは事実なのです。
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ぷーちゃん

Dave Mason、もっと売れてもいいアルバムが
いっぱいありますよね
by ぷーちゃん (2010-04-20 20:41) 

sowhat

ぷーちゃんさん

Blue Thumb時代のもいいですよね。
問題はヴィジュアルだったかなぁ…。
女性には人気がなかったから。
by sowhat (2010-04-21 21:50) 

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