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NHK BS2「MASTER TAPE」ひこうき雲 *追記あり [TV]

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1970年代、私は洋楽を中心に聴いていたので、当時の邦楽はラジオ、テレビを通して見聞きしたり、友人から借りて聴く程度ものしか知りません。毎月1枚、LPが買えるかどうかで、ロック全盛の洋楽に較べ、私にとってあまり魅力的ではなかった邦楽まで手が届く状況ではありませんでした。

荒井由実という名前といくつかの曲は知っていたものの、レコードを買ったのは何年も後。リアルタイムで聴いていた訳ではありません。でも回りでは人気があり、否が応でも耳に入って来たのは「ルージュの伝言」がヒットした1975年頃だったと思います。

だから『ひこうき雲』は、相前後して友人から借りて聴いた一枚でした。印象は、悪い。「歌」。こればっかりは、XXX…でした。若気の至りで、お許しください。

ユーミンを聴くようなったのは『ミスリム』収録の「海を見ていた午後」を知ってから。熱中することはありませんが、手頃な中古があれば買う、というお付き合いです。

番組では、加橋かつみに提供した「愛は突然に・・」(作曲のみ)でソングライターとして活動を始めた荒井由実が、嫌々ながらもシンガーソングライターとなり、さらに屈指のミュージシャンが結集して「ユーミン」が誕生するプロセスが見られるのではないかと期待しています。

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ユーミンに厳しいプロの洗礼を与えた実質的なレコーディング・プロデューサー有賀恒夫、エンジニアの吉沢典夫、もちろん育ての親、村井邦彦、そして松任谷正隆、細野晴臣、林立夫、駒沢裕城などのミュージシャンも登場。一人、鈴木茂は大人の事情で出られなかったのは残念ですが、約1年かかったといわれるレコーディングの様子を、番組のテーマ「Master Tape」をプレイ・バックしながら振り返ってくれるでしょう。ピアノだけで録った最初のテイクを聴いてみたいですね。

03.jpg「返事はいらない」は1年以上先行して1972年7月5日に発売されたデビューシングルでしたが、こちらは、かまやつひろしのプロデュースで別バージョン。演奏には同じ所属のGAROや、高橋幸宏、BUZZ、小原礼も参加しているそうです。このシングルが売れなかったため、アルバムの作り方が見直されて、1年近くをかけてレコーディングが続けられています。このシングルは「リバティ」からの発売でした。写真から感じるイメージもかなり違っていますね。


izumi.jpg「ひこうき雲」は元々雪村いづみに書き下ろした曲でした。自分で歌うことは考えていなかったそうです。しかし、いろんな事情があり、当時は未発表。演奏はユーミンと同じキャラメル・ママ。外国レコーディングもあり、発売されていたら注目されたと思います。後々約20年を経てCD『Come On Back』で初公開されました。
雪村いづみは「ひこうき雲」とても気に入って、コンサートでは歌っていたそうで、どんなコメントをしてくれるでしょうか。


06.jpgユーミンが歌った「ひこうき雲」は、1973年11月5日発売の二枚目のシングル「きっと言える」のB面でしたが、続いて1973年11月20日に発売されたアルバム『ひこうき雲』収録曲とは歌詞が違うシングルバージョン。当時、深夜放送で歌詞の違いが話題になりました。

アルバムのジャケットは「Archive(アルヒーフ)」というドイツ・グラモフォンのバッロクを中心にしたレーベルに似せたそうです。私はローマ字表記は好きになれませんが、アルファの多くはこの表記にこだわりを持っていました。読み難いんですけどね。どう思いますか?

05.jpg初版は「ALFA」のロゴが異様に大きく、販売の東芝EMIから注文が付いて削除されます。お陰でユーミン関連ではかなりのお宝アイテムになっていました。
シングル「きっと言える」にもあるやや大きめの「ALFA」のロゴも、その後小さくなってしまいますが、こっちはあまり話題になりません。村井社長、かなり「社名」にこだわっていたようですが、素人としては、荒井由実は東芝専属でエキスプレスのレーベルから出している、程度しか分からず、「ALFA」の意味を知るのはかなり後になってからです。


07.jpg私が最初に熱中した日本人は矢野顕子でしたが、『ひこうき雲』をレコーディングしていた1973年、矢野も後にデビューアルバム『Japanese Girl』に収録する「大いなる椎の木」を、細野、林といっしょにレコーディングしていました。いろんな事情があったのでしょうが『Japanese Girl』の発売は三年後の1976年。この二枚は、日本を全く逆方向から捉えた対照的なデビュー作だと思いますが、1973年のこの接近は、矢野顕子に何らかの影響を与えたと見ております。ちなみに矢野顕子、結婚前の鈴木顕子で『ミスリム』にちゃっかりコーラスで参加しているのも見逃せません。

「Master Tape」の今後の放送予定は発表になっていませんが、次は『Japanese Girl』を取り上げて欲しいと思う、矢野ファンの私ですが、興味深い邦楽作品がたくさんありますから、今後の放送に期待したいものです。
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[追記] ー番組を観てー
やっぱりマルチを聴くのは最高ですね。OKテイクしか聴けませんでしたが、全編「リミックス」状態でした。埋もれている音がいくつも出て来る出てくる。

細野晴臣のガットギターが特に効いていました。もちろんベースも天下一品。もっともっとベースを上げて聴いてみたくなります。この数年後にYMOとなるのですから信じられません。

ただ一人、NHKに出演できない鈴木茂が残念。編集でカットしたのかもしれませんが、誰も話題にしなかったし、出来ませんし。彼のEギターの存在を無視できないので構成が辛かったことでしょう。

林立夫のドラムをもっと聴きたかったなぁ。やっぱりドラムはミックスダウンでいちばん損をしています。彼には4つのトラックが与えられていたのが何とも嬉しかった。時々入っているパーカッションも効いてる。

松任谷正隆がブリティッシュロックが大嫌いだったとは思わなかった。ユーミンのピアノの裏でローズとオルガンが雰囲気作りに最高の演出をしていたことも再発見。また、このレコーディングの頃からもうユーミンと付き合っていたことも分かりました。

ボーカルがあるのと無いのとでは印象がガラッと変わるのがいちばんの収穫。アメリカ絶対のキャラメル・ママの演奏と、ブリティッシュロック大好きユーミンのボーカルが合体したのが『ひこうき雲』だったことがよ〜く解りました。十分5.1chにミキシングできる素材なので、サラウンドで出してくれないかなぁ。

16トラックの振り分けをテロップで出してくれたのは最高の演出。楽器名が略語だったので分かり難かったかもしれませんが、どのトラックを、どの楽器・音源を出しているのか、よく分かったと思います。

さて、次はどれを、誰を取り上げてくれるのか、本当に楽しみです。
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