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のだめカンタービレ 最終楽章 前編 [映画]

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「アバター3D」もいいけど、これも楽しい映画です。

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上野樹里のコメディエンヌ、玉木宏の天然ボケ、コンビネーションもますます良くなって、独特のおもしろさが満載です。表向きは、クラシック音楽を題材にしたコメディなのでしょうが、要所要所に顔を出すクラシック音楽の精神性と厳しさがピリリと効いていて、奥の深い内容になっています。
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予算もたっぷりなのか、クラシック音楽の殿堂、ウィーン楽友協会・黄金の大ホールで撮影をしています。使用料はいくらなのだろうか? 仕事上の演技とはいえ、オーケストラを前に指揮台に立って指揮をした玉木宏は幸せ者です。

使われているクラシックの曲、半分くらいは知っている曲でした。大砲を使うチャイコフスキー「1812」、デュカス「魔法使いの弟子」、そして大好きなラヴェル「ボレロ」も登場します。


映画では「ボレロ」は失敗作として演奏され、史上最悪の名演奏でした。これはこれでおもしろいのです。

「ボレロ」はお気に入りなので10枚位持っていますが、よく聴くのは、この1977年のカラヤン&ベルリン・フィル。
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なぜか?といえば4chだから、なのです。しかし、日本盤には4ch仕様の表記は一切ありません。
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ところが、原盤盤号をみると、
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「Q2RA-9400」、この「Q」がEMIの4chを表していて、これがいわゆる「隠れSQ」(といっても誰も知らない)と言われるものの一つです。

EMIは1972年からSQ方式で4chLPの発売を開始し、クラシックだけは1978年終わり頃まで発売を続けています。粘りに粘った4chメーカーでした。どんな思い入れがあったのだろうか。
私が持っているものの中でいちばん最後のが、1978年10月発売と考えられる、これ。
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右下を見ると、「SQロゴ」と1978年10月の日付があります。バランス・エンジニアはTony Clark。The Moody BluesのTony Clarkか???
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少なくとも「ASD-3127〜3546」、「EMD-5526〜5530」の間のLPには4ch仕様が多く含まれているようです。400枚以上あるのでしょうか、全部調べるのは無理だな(笑)。2chとの互換性を十分利用し、4ch仕様のものは2chマスターは存在せず、4ch仕様の「2chマスター」のみ。したがって後年発売されたCDも4ch仕様のままで、SQ表示は無くなっているものの「隠れSQ」として綿々と生き続けております。暇とお金があれば確認したいですが、全部を調べることはとても出来ません。

東芝というのはどうも規格選択に運が無いようで、次世代DVDでは「HD-DVD」で破れ、家庭用ビデオでは「βマックス」を選んで、後に撤退。4chも最初「RM方式」を採用したものの、上記の通りイギリスEMIがSQを選んでしまったため、日本の市場では混乱してしまいました。

カラヤン5回目の「悲愴」は1971年のEMI録音が1973年4月に日本発売。「EAY-82001」、東芝クラシック4chの第一号でした。4chオープンリールも発売されています。
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このシーリーズはEAY-82001〜82013まで発売し、1974年3月で終了。表面上、EMIの4ch発売は終わったのですが、その後も4年以上「隠れSQ」を発売していたことになります。ただし、すべてのEMI原盤が日本盤で発売されたかどうかまでは確認できておりません。

一方、ポピュラーではRM方式を採用します。アメリカABCの4chが発売されました。
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イギリスEMIの「原子心母」「狂気」「Imagine」などは、オリジナルは「SQ方式」でありながら「RM方式」で日本は発売。ちょっとした捻れ現象になっていました。「原子心母」のマトリクスは「QHVL-781」、「狂気」は「QHVL-804」と、イギリスと同じ「SQのマトリクス」を使用しています。つまり、送られて来たのはSQ仕様のマスターだったかもしれません。そのまま流用したのか、RMに東芝が変換し直したのか、謎です。

結局、1974年12月(35年前か…)の「狂気」など3枚の「RM方式」発売を持って東芝は4chLPの発売を一旦終えるのですが、上記の通り、本国EMIが発売したSQは「2chステレオ」として発売されていたのでした。ソニーが主導した「SQ」を表示するのが、はばかられたのかもしれません。

ただ、これらSQ、カラヤンのファンの方は4ch仕様の意味をご存知のようで、時々「残響音が多い」など厳しい評価もあるようです。現物を持っていないので確認は出来ませんが、カラヤンのEMIのSQは「ボレロ」「悲愴」以外にあと10枚程度(内、2枚所有)あるようです。

「ボレロ」と「悲愴」の4chですが、リアから出るのは残響音。最高のサラウンドとまでは決して言いませんが、臨場感はよく醸し出しています。2chで聴いても違和感はないのですが、何しろ純粋な2chミックスが存在しないので較べようもありません。「2chー4chコンパチ」という互換性が十分に保たれて、どっちでも楽しめると思うんですけどね。

もし、これらカラヤン、そしてEMIのSQが何らかの評価を得ていれば、4chの歴史は違っていたのではないかと思います。

不思議なことに、東芝の4chはまだ続きがあり、1976年、村上ポンタのデビュー作「驚異のパーカッション・サウンド」、1978年に深町純「春の夜の夢」など、国内制作の「プロ・ユース・シリーズ」に一部を、今度は山水の「QS方式」を採用して粘り強く発売していたんですね。
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これらCD化されたものも、QS仕様のまま。QSもSQも、見かけが2chステレオと同じでマスターも2chテープですから、純粋な2chミックスが作り直されなかったがための産物です。デコーダーを通せば4chに生まれ変わる術を持っているのですが、忘れられたままでひっそりと生き続けて行くことでしょう。

Santanaの日本でのライブ「Lotus」はSQのLPで、最初のCDはSQのままでしたが、豪華紙ジャケットに仕様変更された時、わざわざ4chを2chにミックスダウンしてしまったこともあります。旧規格の方が価値があると考えるのは、私だけなのでしょう。アンビエンスがメインのライブだから、2chでも良しとしましょう。

あっ、のだめカンタービレ、ただ今、アニメ版の再放送中です。
タグ:4ch
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ぷーちゃん

来年もよろしくお願いします。
いいお年をお迎え下さい。
by ぷーちゃん (2009-12-31 22:55) 

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