悲しみの恋人達 'Cause We've Ended As Lovers 続報 [Jeff Beck]
このシングルと「'Cause We've Ended As Lovers」収録のSyreeta『Stevie Wonder Presents Syreeta」(以下、『Presents』)の発売日が分かりました。「'Cause We've Ended As Lovers」の邦題は以下のように採用されていました。
74年6月19日 Syreeta『Presents』アメリカ発売
74年10月?日 日本盤『Presents』(SWX-6140)ビクター発売
________「'Cause We've Ended As Lovers」の邦題は「恋人たちの詩」
75年5月23日 シングル「Harmour Love/'Cause We've Ended As Lovers」US発売
75年6月21日 Jeff Beck『ギター殺人者の凱旋』(ECPO-39)CBSソニー発売
________「'Cause We've Ended As Lovers」の邦題は「哀しみの恋人たち」
75年8月21日 Jeff Beckシングル「哀しみの恋人たち」(ECPB-338)日本発売
75年9月 ?日 Syreetaシングル「愛の鳥/恋人たちの詩」(JET-2326)日本発売
-----------------------
95年3月1日 CD『Presents』ユニバーサル日本発売
________「'Cause We've Ended As Lovers」の邦題は「哀しみの恋人たち」を採用
「'Cause We've Ended As Lovers」の日本初出はやはりSyreetaの2枚目LP『Presents』で、邦題は「恋人たちの詩」であることが分かりました。「恋人たちの詩」は「愛の鳥」のB/Wで翌年5月末アメリカ発売されますが、Jeffの『ギター殺人者の凱旋』アメリカ発売とほぼ同時期と思われます。ただ、この2枚の発売に関連性があるのかどうかは分かりません。
この経緯から推測すると、もしCBSソニーが「'Cause We've Ended As Lovers」が日本発売されたのを知っていたら慣例に従って「恋人たちの詩」を採用するはずです。当時の広告記事を読むと、「'Cause We've Ended As Lovers」は「Stevie WonderがBeckの為に新曲を書き下ろし」と書き、Syreetaのことには一切触れていません。Stevieのアルバムには収録されていませんから「未発表」と判断したのではないでしょうか。
シングルの発売が近かったのは偶然かもしれません。ビクターもB面曲なので気を抜いたのか、同時期に同じ曲に違う邦題のシングルが発売されていたことになります。ちょっと珍しい現象かな?
約20年後、CD発売時には邦題を「哀しみの恋人たち」に変更したのは、Beckのバージョンの認知度が高かったからでしょう。いや、ユニバーサルの担当者も「恋人たちの詩」という邦題の存在を知らなかった可能性もありますね。この曲以外に4曲(M 4, 5, 7, 10)には邦題があったのですが、CDでは採用していません。
Syreetaの「恋人たちの詩」はちょっと可哀想な存在ですね。Jeffの「哀しみの恋人たち」のオリジナルとして巧く売り込めば、もっと広く聴かれる機会があったと思います。ちなみに、CDの解説でもこのことは一切触れられていません。いい曲なのに残念です。
Syreetaの「愛の鳥」は1975年に録音されてシングル発売されていますが、アルバムに収録されるのは2年も後、Syreetaの3枚目『One To One』でした。
Stevieのプロデュースで、コーラスにも参加しているようです。なかなかいい曲です。
コメント 0