ZAPPA/WAZOO

Led Zeppelinはお休みです。なぜならZappaの新作が届きました。

公式アルバム第82枚めになるのは、1972年に20人で結成されたGrand Wazoo Orchestraが
9月24日にボストンで行ったコンサートをレコーディングしたものです。

この頃はそれまで順調だったZappaに不幸が続いていた頃で、前年の12月7日に、モントルーでDeep Purpleの「Smoke On The Water」に歌われた火事に遭い、多くの機材を失ない、新たに調達してロンドンのコンサートにこぎ着けたものの、今度は闖入者にオーケストラピットに突き落とされ、Zappaは足を骨折してしまいます。1972年は車椅子の生活を強いられて、Mothersは解散せざるを得ませんでした。
その頃に制作したのが『Waka Jawaka Hot Rats』と『Grand Wazoo』で、新たにGrand Wazoo Orchestraを結成し、今回のCDとなったツアーに望んだのでした。

しかし興行的には失敗で、規模を縮小して続けたものの1972年の終わりに消滅します。完全な形でのライブは発売されていなかったので、とても興味深い内容です。通常のオープンリールである6mmテープに2ch録音ですから、記録用のものと思われます。

しかし、その内容はすばらしいものでした。
複雑な曲を一糸乱れず完璧に演奏しているのは、これが生演奏だったとは信じられません。もちろん厳しいオーディションで有名なZappaですから、技術が折り紙付きであることは分かってはいるものの、ここまで堂々と聴かされると、もう言葉が出ません。
おまけに音が生々しい。修正不可能の完全な一発録りにもかかわらずミックスは完璧で、35年前の熱気と迫力をそのまま再現しているかのようです。音楽の質は全く違うものの『The Song Remains The Same』には決して負けない迫力、いや、こっちの方が上であると言わざるを得ないのです。もうLed Zeppelinを忘れてしまいそうです。

この頃はZappaがロックという範疇からいちばん離れた位置にいた頃で、ジャズと現代音楽が混じりあったような曲風は、ファンの中でBESTにする人は少ない。でも私は『Grand Wazoo』は大好きで、ころころと日々BEST 1は変わるものの、BEST 3には必ず入る、お気に入りなのです。

Zappaはハローウィンが大好きで、生前は毎年何らかのイベントを行っていましたが、今年はこのCDが発売されました。伝統は生きているんですね。演出が憎い。関連の発売は死後も続いているんですが、先週には「ZPZ」のDVDが発売されました。今月中に届くと思いますが、Zappaファンの上納金はまだまだ打ち止めにはなりません。

このCDはZappaのウェブで買うことができます。

http://zappa.com/flash/wazoo/index.html

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